アメリカの失業保険についての取り扱い 

I.            アメリカの失業保険 (Unemployment Insurance)

        A.   誰が受け取れるの?

アメリカの失業保険 (unemployment insurance)は連邦ルールに基づいて、各州がそれぞれのプログラムを運営しています。

原則として、以下の要件を満たしていれば失業保険を受け取ることができます:

① 離職前の直近 5四半期のうち、最初の 4四半期間の算定期間のうち2四半期について賃金の支払いを受けていること (多くの州で直近の4四半期など、別の算定期間のうち一定の雇用期間及び賃金設定がされている場合があります。)

② 賃金が一定額以上あることとされています。州によって金額は異なりますが、おおよそ 1,000ドルから 4,000ドル程度です。(住んでいる州と働いていた州が異なる場合は働いていた州に失業保険を申請するので、働いていた州のルールを把握する必要があります。)

③ 離職理由が懲戒解雇又は自己都合でないこと (但し、自己都合である場合も正当な理由があると認められる場合は例外として失業保険の受給が認められる可能性があります)

④ 求職の能力及び意欲があること

以上の要件を満たしていればほかの要件(例えば年齢など)は問われません。但し、undocumented workers (違法滞在、不法就労者等)の場合は受領する資格がありません。


        B.   どのくらいの期間もらえるの?

上記でも書きましたが、州ごとにルールが異なりますが、ほとんどの州で最大26週までとなってます。但し、12週(フロリダ州)や30週(マサチューセッツ州)等の例外もあるので注意が必要です。失業率が高い場合には州法に基づき延長給付が13週又は20週追加で支給されることとされています。


        C.   どのくらいの金額もらえるの?

アメリカ失業保険の給付水準は州ごとに異なりますが、多くの州で州失業保険税の課税対象となった週当たり賃金の平均の5割程度の額とされており、最低額及び最高額の定めがあります。


        D.   失業保険税の基本

失業保険税は連邦税 (Federal Unemployment Tax Act or FUTA) と州税 (State Unemployment Tax Act) があります。
連邦失業保険税は、事業主(雇用主)にのみ課されます。税率は、各暦年における年間賃金のうち $7,000を超えない金額の 6%です。
但し、州の失業保険税を期日までに納めている場合、原則として5.4%が控除され、適用される州の失業保険税率に関わらず0.6%となり、Form 940 (Employer's Annual Federal Unemployment Tax Return) を申告する際に計算します。このForm 940は毎年1月末日が提出期限です。
州失業保険税は、原則的に事業主(雇用主)にのみ課されますが、例外の州もあるので留意が必要です。税率も各州によって違います。

        E.   失業保険には所得税がかかるの?


失業保険は所得として扱われますので、個人所得税がかかります。課税対象となる失業保険の金額は、1月にForm 1099-Gが送られてきますのでそれを基に申告をします。

II.            コロナ禍での失業保険の特例


        A.   失業保険の特例


失業保険についてアメリカでは以下の特例が設けられました。

2020年3月 - The Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act (CARES Act; コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法)

a. 週600ドルの加算支給 (Federal Pandemic Unemployment Compensation  (FPUC); 連邦パンデミック失業補償)
b. ギグ・ワーカーやフリーランス、自営業者らを対象にした特例給付 (Pandemic Unemployment Assistance (PUA); パンデミック失業支援プログラム)
c. 受給期間満了者に対する最長13週間の継続給付 (Pandemic Emergency Unemployment Compensation (PEUC); パンデミック緊急失業補償)

2020年12月 - Consolidated Appropriations Act (2021年統合歳出法)

a. についての追加支給額を週$300に設定。
(2)PUAと(3)PEUCの支給期限は11週間延長した。
また、複合所得者失業給付(Mixed Earner Unemployment Compensation; MEUC)を創設しました。この制度は自営業者と雇用(給与)者の両方で収入を得ている「複合所得者」(mixed earner)を対象とするものです。

以下の要件を満たすものについて、通常の失業保険に週$100を追加して給付することとしました。
①通常の失業給付(週$1以上)を受けていて、かつ、
②直近年度の自営業収入が$5,000以上ある者。


2021年3月 - American Rescue Plan Act

a.についての加算額を週$300に設定し、a, b, cの一連の特例措置の期限を9月6日まで延長しました。

        B.   失業保険の税額控除


2020年のadjusted gross income が$150,000 未満の納税者については、$10,200までの失業保険所得について税額控除がとれます。つまり税金がかからない特例も含まれています。既に2020年の申告書を申告した納税者については、修正申告は必要ないと (IRS) 税務当局はガイダンスを出しました。(2021年3月16日現在)どのようにして還付されるかIRSが検討中で近日中にガイダンスが発表されるようです。

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