アメリカ税制改正 における有形固定資産一括償却について(2)


前回の記事に引き続き、米国税制改正による有形固定資産の減価償却についての詳細。

改正前:
非居住用不動産 (non-residential real property)は原則、耐用年数39年・定額法(straight line)によって償却。

但し、以下に該当するものについては耐用年数が15年・定額法、50% bonus depreciationを取ることも可能。

Photo by Kev Seto

  • 適格建物付属設備 (Qualified Leasehold Improvements、以下QLHIとする):
    • 付属設備が非居住用不動産の内部に足されていること
    • 非関連者間のリース契約に基づくこと
    • 非居住用不動産が使用され始めてから3年経っていること
  • Qualified Restaurant Property (以下QRP) 要件省略
  • Qualified Retail Improvement Property (以下QRIP) 要件省略

2015年のProtecting Americans from Tax Hikes Act (PATH Act)によって、以下追加:
  • 適格修繕不動産 (Qualified Improvement Property、以下QIPとする)
    • 付属設備が非居住用不動産の内部に足されていること
    • 非居住用不動産が使用された日以降に足されていること

QLI, QRP, QRIPに該当しなくても、QIPに該当すれば、39年・定額法で償却だけど、50% bonus depreciationを取ることが可能。

2017年9月27日以前に取得・使用開始:上記のルール適用

改正後:
QLHI, QRP, QRIPは2017年12月31日をもって税法上撤廃されるが、QIPは上記の要件のまま据え置き。QIPについては、耐用年数が39年・定額法で、2018年1月1日以降に取得・使用開始されたものについてはbonus depreciation 適用外となってしまう。これは税制改正を作成したチームの人的ミスと考えられているが、現状では税法がこう書かれている。

2017年9月28日〜2017年12月31日の間に取得・使用開始:
bonus depreciationの要件を満たす有形固定資産については、50%又は100%が選択可能。もちろん、opt outすることも可能。

2018年1月1日以降に取得・使用開始:QLHI, QRP, QRIPの定義は無効。QIPに該当したとしてもbonus depreciationは取れず、耐用年数39年・定額法で償却する。
bonus depreciation(前回の記事参照)の要件を満たす有形固定資産については、原則100% bonus depreciation若しくはopt outが選択可能。



アメリカの歳入庁IRSが発効している、減価償却のガイダンスへのリンクはここ


ご質問やお問合せは、メールにてお問合せください。


Powered by Blogger.