日米租税条約 Japan-U.S. income tax treatyと源泉税

I.                   日米租税条約の背景

日本が初めて締結した租税条約が日米租税条約で、1954年に締結されました。現在に到るまでに日本は60カ国以上と租税条約を結んでいます。

現行(2019年8月時点)の日米租税条約は2003年に改訂されたものです。

2013年1月に一部改正議定書 (protocol) に日米両国が署名がしました。

日本では2013年6月に当該議定書が批准されました。

一方のアメリカでは、批准の手続きが未だ完了していません。(2019年8月時点)

2019年7月17日にやっと上院 (senate) が批准しました。上院がドラフトする批准書を国務省を通じて大統領へとまわり、大統領の署名を持って無事にアメリカでの批准となります。

(アップデート)
2019年8月30日に両国での議定書の交換が行われ、発効されました。この改正についての適用開始日は以下の通りです。

源泉税:2019年11月1日以降の支払
その他:2020年1月1日以降に開始する課税年度

発効日(2019年8月30日)辞典で二国間協議の検討対象となっている件については、新しい仲裁規定の適用が認められています。






まずは現行の日米租税条約の一部を見ていきましょう。

租税条約の基本的な適用ルールについてはこちらの記事を参照ください。

A.                 源泉税


二国間取引で主に挙げられるのが、配当、利息、ロイヤリティだと思います。

例えば、日本の法人からアメリカの法人に、配当・利息・ロイヤリティが支払われたとします。

Photo by Francesco Ungaro from Pexels


基本的には、日本を源泉とする所得なので、日本で20%源泉税の対象となります。更には、アメリカ法人なのでこれらの所得に対して、外国税額控除 (foreign tax credit) が取れますがアメリカで法人税が課せられます。



日米租税条約によって、源泉税が以下の通り減税・免税となります。


  • 配当の場合:0%〜10%(★注1、★注2)
  • 利息の場合:10%(★注3)
  • ロイヤリティの場合:0%
★注1
- 配当所得を受領する者が、配当が確定する日を含め12ヶ月を通じて50%超の議決権を保有していて、ある一定の要件を満たす場合⇨免税
- 配当所得を受領する者が、10%以上の議決権を保有していて、ある一定の要件を満たす場合⇨5%に減税
- その他配当で一定要件を満たす場合⇨10%に減税

★注2
- 上記でも書いた、一部改正議定書では、配当に係る免税要件が50%超から50%以上、かつ、保有期間も12ヶ月から6ヶ月と緩和されます。

★注3
- 一定の要件を満たす利息の場合免税(例として、金融機関からの利息など)



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