アメリカのBEPS行動計画14 相互協議について

I.                  アメリカのBEPS導入―行動計画14



A.                基本


前回の記事に引き続き、詳しくBEPSについてみてみましょう。

BEPSの行動計画14:

相互協議の効果的実施
Make dispute resolution mechanisms more effective
国際税務の紛争を国家間の相互協議や仲裁により効果的に解決する方法を策定する。
新たなルールの導入に伴う二重課税の発生する可能性等を軽減し、租税条約に関連して国際的紛争を解決するための相互協議手続をより実効的なものとすることが図られました。

実効的な相互協議を行うために、各国が最低限実施すべき措置 (minimum standard ミニマムスタンダード) 等が勧告されています。

ミニマムスタンダードについては、その実施を確保するため、各国における実施状況の審査・観察が行われます。各国がお互いに審査する方法をpeer reviewピアレビューといいます。

ピアレビューは、税務長官会議(Forum on Tax Administration)に設けられた相互協議フォーラム((Mutual Agreement Procedure = MAP Forum)により、実施枠組み(「付託事項」(Terms of Reference)及び「評価手法」(Assessment Methodology))に従って行われます。

評価の方法は、ピアレビューを2ステージに分けて行われます。

ステージ:ミニマムスタンダードの実施状況の審査
ステージ:ステージ①における指摘事項の改善状況についての審査

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B.              アップデート


2019年8月13日、OECDはアメリカのBEPS行動計画14についてのステージ2のピアレビュー結果報告書を公表しました。OECDはステージ2ピアレビューの結果報告書第一弾として、アメリカを含め計6か国の報告書を公表しました。

ステージ2は主にステージ1の結果を受けての改善・フォローアップをすることを目的としています。結果として、アメリカはステージ1で受けた指摘内容について概ね改善できているとの報告内容にまとめられているようです。


特に面白い内容のアップデートではありませんが、時事ネタとして更新しました。BEPSが取り入れられたことによって、多国籍企業や国際取引に対する精査は深まる一方で、こうした相互協議のプロセスが効果的に実施されていくのは重要な点だと思います。




 
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