アメリカの確定申告:節税方法

I.            個人所得税の節税方法



この記事では、アメリカで個人の確定申告を行う際の 主な節税方法を紹介します。


A.   退職金制度に拠出 (contribute)する


                                    (i) 401(k)に拠出する

401(k)にも種類がありますが、traditional 401(k)に拠出した金額は、基本的に税金が繰延されます(401(k)から引き出しをした時に税金がかかります)。


但し、以下の制限が設けられています。

  • 従業員の場合、2021年は$19,500まで
  • 50歳以上の場合、追加で年$6,500のcatch-up拠出が可能
  • 雇用主と従業員の合計拠出額は2021年の場合、$58,000まで (50歳以上のcatch-upの場合、 $65,500)
401(k)は会社が従業員の拠出額をmatchして拠出してくれる場合が一般的です。従業員が401(k)に拠出した金額の一定額まで会社が従業員の401(k)に拠出してくれるシステムです。

highly compensated employee 高級所得従業員の場合、更に制限が設けられているので注意が必要です。


                                    (ii) 個人年金 (individual retirement account; IRA) に拠出する


IRAには二種類あります: traditionalとrothです。Traditionalの場合、拠出した年度の税金から控除されます。但し、拠出限度額が設けられています。2021年の場合は$6,000です。

Roth IRAの場合、拠出した年度は所得税がかかりますが、IRAからお金を引き出す時に税金がかかりません。但し、口座を5年以上保有していることと引き出す時に59.5歳以上である等の制限があります。


B.   控除の見直しをする


基礎控除standard deductionが有利なのかitemized deduction 項目別控除の方が有利なのか見直す。基本的に、医療費・住宅ローンの利息等の高額支出がある場合項目別控除の方が有利です。


C.   キャピタルゲイン課税を利用する



一般的に、株などの有価証券の売買や不動産売買から得た損益はキャピタルゲイン(譲渡益)・ロス(譲渡損)として税務上取り扱われます。

一年以上保有した株から得た譲渡益 (long-term capital gain)は長期キャピタルゲインとして軽減税率が適用されます。但し、保有期間が一年未満の株の譲渡益 (short-term capital gain) は基本的に通常の所得と同じ税率が適用されます。キャピタルゲインについては、株のみならず、不動産資産についても同様の税務上の取り扱いがされます。

株の売買から譲渡損がでた場合、まずはキャピタルゲインと相殺します。短期のキャピタルロスは短期キャピタルゲインと、長期キャピタルロスは長期キャピタルゲインと相殺します。キャピタルロスがゲインを上回っている場合、上限$3,000まで他の種類の譲渡益や所得と相殺できます。また、余ったキャピタルロスは翌年度以降(無期限)に繰り越すこともできます。


具体例をみていきましょう。


例えば、保有していた株の値が年末に下がっていたとします。一株 $10で買ったものが、年末時点で一株$5で売ったとします。$5のキャピタルロスが発生しました。保有期間が一年未満か一年以上かで、長期キャピタルロスなのか短期キャピタルロスなのかが決まります。


キャピタルロスがある場合、Wash Sale(ウォッシュセール)に注意が必要です。Wash saleとは、簡単に言うと、株を売った前後30日以内に同一の株(または有価証券)を買った場合、税務上キャピタルロスが認められません。これは、キャピタルロスを税金回避目的で発生させて、株の売買をすることを防ぐ目的のルールです。

ETF(投資信託等)同一の株の銘柄と認められないものだとwash saleとして取り扱われません。

例えば、S&P 500の株式指数との連動している投資信託は複数ありますよね。例えば、 IVV銘柄をキャピタルロスで売って、当日VOO銘柄を買った場合、IVVとVOOは同じS&P 500の株式巣数と連動していますが、原則として、銘柄が別なのでwash saleとしては税務上取り扱われません。



D.   2020年度の特別寄附金控除ルール


慈善寄付をした場合、$300まで控除できるようになりました。通常であれば、項目別控除をとっている納税者にしか寄附金控除は許されていませんが、2020年3月に施工されたThe Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act (CARES Act) によって2020年のみ全納税者に適用される特別ルールです。詳しくはこちらの記事で。


また、2021年も引き続きstandard deduction 基本控除をとっている納税者も$300まで事前寄付金を控除できます。更に、2021年はmarried filing jointly で申告している場合、$600 ($300 x 2)まで事前寄付金を控除できます。



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