米国税制改正におけるBase Erosion Minimum Tax 税源浸食・乱用防止税(1)

Base Erosion Minimum Taxを日本語に訳すと税源浸食代替税になるが、長いのでこの記事では米国の税務業界で使われている『BEAT Tax』と称す。

BEAT Taxの目的は、米国企業が外国所得を米国に戻す際(配当等)、税制改正によって米国での法人税が係らなくなり、(但し、税制改正導入年度(2017年度)に一括留保金課税(通称transition tax, Section 965)が課せられる。)米国の税源減少の補填。米国税源を税制改正前と均等に保つ目的で、多国籍企業で、外国へある一定の支払いをしている企業に代替税を課している仕組みになっている。

話は少しずれるが、同じく税制改革によって2018年度から法人においては代替税 (minimum tax) が撤廃された。その代わりといってはあれだが、このBase Erosion Minimum Tax BEAT Taxが導入された。米国で事業展開する多国籍企業が多くの関心を寄せていて、日系企業も例外でしはない。最終法令(regulations)が未発表なため、細部については不明確な点も未だ残っているが(記事現在)、この記事では基本的なルールをカバーする。

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対象企業は:
米国関連者グループの過去3年間の売り上げが米国ドル500,000,000以上であること。
Base Erosion(税源浸食)損金算入額が全損金算入額の3%以上であること。

上記2つの要件を満たしている米国企業がBEAT Taxの対象となる。

上記でいう関連者グループとは、50%以上の関連者グループを指す。但し、米国実質関連所得(effectively connected income "ECI")を得ていない外国法人はこの関連者グループから除かれる。ECIとは、米国内の事業活動に有機的に関連した所得。

Base Erosion損金算入額とは、基本的に外国関連者への支払いで損金算入されるものを指す。但し、棚卸資産に係る売上原価は除く。

上記でいう外国関連者とは、移転価格上の外国関連者を指し、米国企業の25%以上を保有する法人、もしくは、米国企業又は当該米国企業の25%以上保有する法人の関連会社を指す。

BEAT Taxの計算は、通常の課税所得に修正を加えた修正課税所得×10%*
*2018年度は導入年度のため税率は5%、2026年以降は12.5%まで上がる。

もちろん代替税であるため、通常の法人税額がBEAT Taxより高い場合は追加で負う税額負担はない。

修正課税所得とは、通常の課税所得にBase Erosion損金算入額及び繰越欠損金控除(net operating loss deduction)のBase Erosion %を足し戻して算出する。

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